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2019.06.15

ブログ

主任だより

主任、櫻田です。

タイヤを導入しました

先月、お隣の幼稚園を通った際に子どもが車のタイヤを両手で転がしている姿を見てから、保育園にもタイヤが欲しい…と思っていたところ、ついにタイヤを置くことが出来ました。

保育園の園庭は傾斜のある坂道が多いので、縦にすればなかなかの大きさであるタイヤを転がすと危険…。使う場所などの約束事を決めてから使おうね、と運ぶのを手伝ってくれた年長児の子ども達と約束しました。それまでは、もし使いだした子がいてもすぐに気付ける職員室前に置いておこうと思い、置いていると…

早速見つけた3歳児たち。タイヤは運動知能の育ちやタイヤという素材を通じての子ども同士の対話に役立つかと思い置くつもりだったのですが、さすがは子どもたちです。タイヤを触ってしげしげと眺め、穴があることに気付くと各々すっぽりと収まっていました。穴を見て、「お!ここに入れるぞ!」と気付く、空間把握能力…素晴らしいですね。

彼らにとっては、ひとりひとり分けられた丁度よいスペースが負荷がなく、落ち着けたようです。タイヤの中で、砂や泥を使って何かしらを作り上げるのに集中したり、少し距離を置いた他児と和やかに言葉を交わしたり。1時間以上はその場にいて、穏やかな空間でした。

これがもし、段ボールなど3・4人は入れる物だとしたら、「せまいよ!」「でて!あっち行って!」と自分の気持ちを必死に言葉で伝えようとする姿が見られたかもしれませんね。(手が出るだろうと予測もできるので近距離での見守りが必須になります)

 

子どもの社会性は、他児と接近する→他児と場所を共有する→他児と交流すると段階を踏んで変化していきます。3歳児となると、接近しても平気になってきたけれど…狭い空間でぎゅうぎゅうとくっつくのは嫌!となるぐらいでしょうか。

 

今回のタイヤは、子どもにとって落ち着く場所として機能しました。また、タイヤの穴の大きさと自分の体を比べ、大きさに気付くこともできました。

これはこれで、子ども同士の穏やかな時間になって良かったと思います。しかし、組み合わせ方によっては、盛んに気持ちを言葉で伝え合う素材にもなりそうな…?子どもの様子も見つつ、職員でも扱い方を決めていきたいと思います。

 

子どもは、体験を通じて成長していきます。ただ「おもしろそうだから」「子どもが喜ぶから」と素材を提供するのではなく、しっかり「~な成長をするために、~の体験をしてほしい。そのために~を置こう」と考えるのを忘れないようにしたいものです。

本日、東洋大学 高山静子先生の「子どもの学びを支える保育環境づくり」に参加してきましたが、そちらでも”「子どもを喜ばせたい」は大人の欲求。子どもが毎日毎日誰かに喜ばせてもらうのではなく、自分で環境に働きかけて自分の喜びを見つけていくことが必要”とありました。

このタイヤ遊びはまさに、自分で見つけた喜びですね。あまりの可愛さに笑ってしまいましたが、話しかけずに見守って良かったと思います。

 

大人が想像する子どもの遊び…「わー!」「きゃー!」と大はしゃぎをする姿。でも本当の遊びとは、子どもが夢中になって遊び、学びを得るもの。タイヤで遊ぶ子どもたちに話しかけたい気持ちをぐっとこらえて(話しかければ子どもたちはきゃー!とはしゃいだ末にタイヤから離れてしまうかもしれません。これは学びの損失!)見守るのも、保育士の仕事です。

ちなみに…終盤になると椅子も持ってきて更なる快適空間を作り上げていました。背もたれにタイヤをひっかけると、かなり満足した様子。自分の想像する空間を作り上げることができたようです。

 

この光景を見るとやはり、3歳児にとっては1人1つの居場所が落ち着くようですね。少し落ち着いてほしいな?なんて時は、安定感のあって一人で丁度良いサイズのマットだとか椅子だとかで、居場所を作ってあげるといいのかもしれませんね。

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