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2019.09.20

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子どもの表現活動 【リーダー便り】

1歳児クラス(うめ組)と2歳児クラス(ゆり組)に入りながら、子ども達の遊ぶ時の目線、言葉、行動を見ていると、大人にとってはなんでもないことが子ども達にとってはとても楽しく興味深いことなのだと感じます。

今回は、両クラスで一緒に遊びながら私自身が感じたこと子ども達の表現の豊かさをお伝えしたいと思います。

 

1歳児クラス(うめ組)では、粘土遊びをしました。保育園で使用しているのは油粘土です。最初は少し硬めかなと思いますが、少しずつ人の体温で柔らかくなっていきます。遊びながら、粘土の硬さが変化していくことで子ども達も掌で触感を楽しむことができるのです。

粘土遊びをする中で、子ども達に存分に手、指を使って粘土の感触を味わってもらいたいという思いがありました。

なので、掌を使って、長く伸ばしたり、ちぎったり、丸めたり、平べったくしたりと子どもの目の前で ただ私自身がひたすらしてみました。「ほら、長くなったよ!蛇ができたよ!」と言いたいところですが、子どもには「長いね。」言葉かけをすると、自然と真似をして作ろうとする姿がありました。長く伸びた粘土を見て、大人はすぐ蛇などとイメージしがちですが、子ども達は違うものをイメージするかもしれません。なので、蛇という言葉を口にはしませんでした。しかし、しばらくすると子どもから「へび」という声が出ました。そこからは、丸めながら、「だんごー!」など少しずつイメージしながら、粘土遊びを楽しんでいたように感じます。1歳児の表現はそれで十分立派だと思うのです。そういう積み重ねでイメージする力がついていき、3歳以上児クラスになった時に、更に自ら頭で思い描くものを形にしていけるのです。

 

では、2人の子どもにスポットを当ててお伝えしたいと思います。

T君は、最初粘土に触れずに ただ私がしている手元をジーっと見ているだけでした。次に私のしているのを見ながら、自分も粘土を取って、粘土を触り始めました。そして、いつしか私の手元から自分の手元に目を向けて、粘土遊びに夢中になっていたのです。「こうやって、伸ばすんだよ!こうしたら、ちぎれるよ!」と教えなくても、自分で見て学んでいたのだと感じました。

それから、T君は粘土遊びに集中し給食の時間になっていたのですが、集中している遊びを中断させたくなかったのでマットで小部屋を作って、更にT君が集中して遊べる環境を整えました。遊びに集中できるということは、小学校に入ってからきっと学習に集中できると信じています。

 

なので、正直 にしきっこがみんな自分のやりたい遊びを楽しみに保育園に通ってほしいなと願っています。子ども達が楽しみながら通ってもらえるように保育士側も考えながら保育を行わなければいけないと感じます。子ども主体だから、子どものしたいことを提供すれば良いというわけではありません。バランス良く遊びの提供できるようにしていかなければいけないと保育をしていると強く感じます。

 

そしてT君は、満足すると自ら粘土を入れ物に片付けて、手を洗いにきました。保育士に「片付けてください。」と言われたわけでもなく、本当にその活動を自分の納得いくまでできたからこそ、自らその活動を終えることができたのでしょう。その場にいた職員が皆 目にして驚いた瞬間でした。T君の場合は、今回形として粘土が残りませんでしたが、粘土という素材を十分楽しめていたように思いました。手指を使うことで【第2の脳】を十分活性化できたのではないでしょうか。

 

Rちゃんの場合は、自分の掌に入るぐらいの粘土を手にして、ギュッと握りしめて、そっと広げてジーっと見つめていました。指の型がついたことに気づいたのかもしれません。そして、私のところにきて満足そうに「先生、ギュッ!できたよ????」と教えてくれました。私も「かわいいギュッ!だね。」と言うと「先生もして!」と言われ、Rちゃんと同じように粘土をギュッ!と握りしめ、指の型がついた粘土の塊をRちゃんに見せると「いっしょ!」と喜んでいました。形がはっきりして、何を作ったのか分かるものが作品としては見栄えはいいかもしれません。しかし、今まで形あるきれいな作品は保育士の手が加わることで完成するものであって、その子ども自身が作った作品とは言えません。まさに、Rちゃんが作ったギュッ!は、子どもが作ったかわいい作品です。素晴らしい作品だなと思いました。

保護者の方にもお伝えすると、「家でもご飯をギュッ!としていて????」と教えて頂きました。Rちゃんは、色々な素材でギュッ!として感触を確かめいるのではないかと思うことでした。

下記の写真がRちゃんの作品 「ギュッ!」です。

かわいいアートですよね!

 

次は2歳児クラス(ゆり組)では、お花紙を使った活動を行いました。1歳児クラスでも行っていた活動だったので、これが1年の違いでどのように変化するのか見てみたいと思いました。ただ、お花紙を子どもの前に出しだだけで、遊び方は伝えませんでした。1歳違うだけで語彙の数も違い、活動中もお花紙を手にして「きれいだね!」「フーってしたら、飛んだよー。」と子どもが紙を手にして感じたことなどを言葉にしていました。その後は、紙を存分に使って、ちぎったり、裂いたり、丸めたりすることを楽しみました。うめ組の遊んだ紙の量よりかなり多かったような気がします。きっと、1歳児の時色々経験して、手、指を存分に使った遊びをしたのでしょう。子ども自身が手、指を使って裂いたりしたお花紙を次に傘に入れて、回すと、雨のように、傘から紙が溢れる様子を見て、「雨だあ!雨だあ!」と寝転がり、上から降り注ぐ紙を見て触れていました。視覚、触覚の刺激となった活動となりました。

 

午後からは、朝の活動で使用したお花紙を使って次の展開へ。たらいの中にお花紙を投入すると、すぐ気付いた子はすぐ歩み寄ってきました。

保育士が少しずつ水を加えると、自然と子ども達はたらいの中に手を入れていました。「先生、気持ちいい!」「あれー?フーってしても飛ばないね。」と午前中した活動のお花紙との性質の違いに気付いていました。朝と同じことをして、同じ素材なのにできないのはなぜ?と思ったのかもしれません。私が「どうして、フーしても飛ばないんだろうね?」と一緒にその子どもと考えていると、「お水を入れたからだよ!」という声が上がりました。そこで、「どうして、お水を入れると飛ばないの?」と問いかけると、「だって、重くなっているよ。」と手で触れながら重さの違いに気づけたのです。子ども自らの気づきです。

活動を進めていく中で1人の男児が、机にあるものに気づきました。活動前に、ボンド、洗濯のり、水を何気なく置いておきました。きっかけ作りとして、保育士が水をたらいに入れ、その後は子ども達が自ら活動を展開していくことができました。「ぼくが水を入れるね。」「もう少し水入れて!」「のりとボンドも入れるね。」と量を考えながら友達と協力しながら遊んでいましたよ。そして、1人の子の「粘土みたいになったよー。」という一言から第2段階の感触遊びへ。

クラスは、花紙粘土作りで床は水浸しで大変なことになりましたが、掃除をすればいいのだから存分に子どもの遊びを見守りました。

感触遊びを十分楽しめた頃合いにプラスチックの透明コップを投入。そこから、子どもはその中へ入れることに夢中になっていました。入れ終わったと同時に片付けも終わり活動も終了!

 

その後、クラスの先生と話し合い この子どもがコップに詰めたお花紙を乾かして、また違う触感を味わってもらおうということになりました。

5日間、天日干しをして乾きました。そして、部屋の机に置くと興味津々で近づいてきました。

触りながら、子どもなりのイメージが広がりました。

下記の写真は「カエル」だそうです。最初からカエルを作ろうと思い作ったのではなく、後からイメージするという方法もとても新鮮で子ども達の発想の豊かさを感じることができました。

組み合わせて、「アイスクリーム」

またカラカラに乾いたもの、少し湿り気のあるものがあるのに気付いた子どももいました。1歳児クラスでは、感触を十分楽しむ。2歳児クラスでは、少しずつイメージすることができるとともに、子ども自ら遊びの展開を保育士にヒントをもらいながらできるということです。

1年の違いでこのように表現が変化していくのです。

表現も色々あります。文章、絵画、ダンス、造形、音楽と子ども達が自分に合うものを見つけて、存分に表現してほしいなと思います。

またこの遊びの中で、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の【健康】、【協同性】、【思考力の芽生え】、【数量や図形などへの関心・感覚】、【言葉による伝え合い】、【豊かな感性と表現】が織り込まれています。毎日の保育の積み重ねで10の姿に繋がっていくのです。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」とは、到達目標でも幼児期の終わりの完成形でもありません。日々の遊びの中で、それが子どもの中で育ち、それがいづれ社会に出た時が花が開く時なのです。目まぐるしく変わる社会で【知識がある、言われたことならできる】という人間では社会に適応できなくなると言われているのです。遊びが学びになるのです。日本だけでなく、世界でどんな状況や場面でも使える能力を育てていこうという方向になってきています。

 

保育士も年齢に合わせた保育を行いながら、子どもの声に耳を傾けて、何に興味を持っているのか、どのような気づきがあるのか、そしてそこに保育士の思いも大事だということです。子どもに色々な素材に触れて性質に気づき、遊びの展開を自ら考えていく!

そういう豊かな遊びを行える子どもが増えていくためにも、私達保育士がしっかり子どもと向き合い、観察しながら、環境を整え、保育を振り返り、反省すべき点も抑えながら、次の保育へ生かしていく!そういう当たり前のことの大切さを今一度、保育士一人一人が考えていかなけばいけないなと思いました。今年度も折り返し地点です。園内研修で前期の振り返りが9月28日にあります。保護者の方からご協力いただいている大切な時間なので、後期の保育に十分生きるように意識を持って研修に臨みたいと思います。

文責:古市

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