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2019.07.01

ブログ

主任だより

先週、うめ組に入りました。オムツを替えておやつを食べて…自然な流れで職員が絵本を取り出し、「さて、絵本読もうかなあ」と言うと…

 

 

おやつを食べ終えて、ひと段落ついていた子ども達が続々と集まってきました。「集まって」と指示をしなくとも、絵本が好き・絵本に興味が向くタイミング・集まりたくなるような環境設定(ソファやプラホーミングで座れる場所を作っていました)と様々な要素が重なっての自然な流れ。「今は絵本見ない」という気持ちの何人かの子は、棚を挟んで向こう側の静かな空間で外を見たりごろごろしたり。

大きな声や指示しすぎる声が聞こえず、非常にゆったりと穏やかな空間でした。

ちなみに、一番後ろでは別の絵本を持っていた子が職員の動きを真似していました。4歳頃になると絵本の読み聞かせごっこや、実際に読み聞かせをたどたどしくも友達相手にしてみる姿がたびたび見られるのですが、こんな小さな時から大人の言動をインプットしているのですね。

雨だったため、そのあとは室内遊びでした。新聞紙遊びをメインに、ほかの遊びのミニコーナーとして粘土を廊下で行いました。新聞紙遊びの気持ちではない子や、新聞紙遊びはビニールプールを使って行ったため友達との接近や場の共有が発生するため、一人で遊ぶことに集中したい子に向けてのコーナーでした。

 

 

あえて机は使わず、床で行いました。

理由としては…油粘土は硬めの粘土のため、力が必要…地面にぺたりと座った方が手に力を込めやすくなります。また、この年齢の子ども達にとって「椅子に座る」と「油粘土で遊ぶ」を両立するのは集中を欠ける原因になる可能性があります。

実は、一歳児に対して粘土を提供したのは私も初めて…もっと良い方法もあるかもしれませんね。

油粘土を初めて触った子もいたようです。「なんだろう、これ」と不思議そうな顔で最初は覗き込んでいました。

箱から出して「どうぞ」「粘土だよ」と目の前に置くと、掌に載せて「おぉっ!」と口を丸くしたり、にっこりしたり。掌に載せてフリーズする子もいたので、「ひっぱったらちぎれたね」「こねこねしようかな?」「あ、手でくるくるしたら丸になったよ」「お、長くなった。蛇みたい」と目の前で遊んでみせました。

じーっと手元を見て、子ども達は観察している様子でした。そのうち、同じように手を動かしてみて形が変わることを実感すると、目の前の粘土に集中!長い粘土を量産したり、ひたすら丸い粘土を作ったり…。

そんな中、周りの友達の手元を見て面白そうに笑うものの、「掌の上の粘土を握るでもなく落とすでもなく、掌にただ載せ続け「お!」と声を発する子がいました。普段はクラスに入らないものですから、その子のことを詳しく知っているわけではありません。さてはて、この子は一体何を言いたいのだろう?と内心首をかしげる場面でした。

そこでひとまず、様子を観察することにしました。

最初に手渡した時の反応から、粘土は初めて触った可能性が高い。嫌な顔は一回もしなかったから、粘土の感触が嫌なわけでは無さそう。周りの友達の遊び方を熱心に見ているから、遊び方に興味はある様子…。粘土がほかの子より少し大きい塊だ。

観察した結果、友達みたいに粘土で遊びたいけれど、その気持ちに手の動きが連動していないのかな?もし今次のステップに進めたとしても、塊が硬くてそこで止まってしまうかもしれない。と解釈しました。(私は普段の子ども達を十分に観察しているわけではないので、この解釈が正しいとは残念ながら限りません)

そこで、一回り小さな粘土を渡して、目の前で「手と手でくるくるしたら丸くなるんだねー」と手の動きを実況を交えて遊びながら見守ることにしました。

しばらくすると…

 

 

指先で粘土をつまんで、力を込めて小さくちぎり、床に置く…という遊びを集中して行っていました。ちぎられ小さくなった粘土の数の多さといったら!ちぎれるようになった時の子どもの喜びが伝わってくるようです。

後から遊びに来た別の子どもが、無数の粘土の粒を見て「うわあ!なにこれ!」とでも言うような表情でつまみ上げて集めていました。

 

指先の発達を、遊びの中で楽しむうちに支えていく。苦手な分野だけを”練習”させて無理に伸ばそうとするのではなく、得意な分野(この子の場合は周囲の子を観察することは得意なように見えました)を存分に楽しむ中で苦手分野も一緒に少しずつ伸びていく。一人ひとり、違う人間なのですから、一人ひとり、学び方も違うのだと思います。

非常に大切なことだな、と思いました。

沢山の子どもたちが通う保育園で、一人ひとりを観察して、一人ひとりにあった学び(遊び)が行える環境を整えていく…というのは、一斉保育をしなくなったからこそできることですね。子どもに一斉に指示を出して済む保育ではないので、専門性を問われる難しい保育になったとも言えますが…職員は、いろいろと考えて、本などで学んで、話し合って、実行して、振り返って…と、意欲的です。

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