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2022.01.31

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ICTと子どもの発達について

先月末に鹿児島市北部地域子育て支援の連絡会に参加する機会がありました。その中で増田クリニック院長:増田彰則氏による『メディアが子どもに及ぼす影響』について乳幼児のメディア使用調査から見えてきた実態について講話がありました。現在この心療内科では、生活リズムの乱れや睡眠不足、イライラしてキレやすい、勉強に身が入らない等といった症状の子どもが300〜350人程通院しているそうです。ネットやゲーム依存が原因ですが、通院途中で来なくなり治療にならず、小中学生では遅い問題だとの見解でした。

 

※ここでいう”メディア”とは、「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の略で、通信技術を活用したコミュニケーションを指します。以降は、”ICT”という書き方で統一します。

 

とは言っても、世界中で仕事にも娯楽にも根付いているICTです。子ども達が大人になった時には、更に必要不可欠な存在になっていることは想像できます。

必要なのは、ICTを完全に子どもから取り上げる事ではなく、ICTの良い所も悪い所も知った大人が、上手な付き合い方を教えていくことではないでしょうか。

今回は、両方の側面から見た上で、講話の内容について触れたいと思います。

 

 

乳幼児からICT(ゲーム、SNSなど)に長時間夢中になると❓

1:アイコンタクトと話しかけ・応答の減少→愛着が育ちにくい

愛着とは…

乳幼児は、いつもそばで見守ってくれ、必要な時に助けてくれる存在に特別な結びつき(愛着)を持つようになります。

乳幼児にとって・スキンシップ・他の子どもとの遊び・遊びを通してのコミュニケーションが大切です。

 

2:安定した睡眠が取りづらくなる

寝る前に光を放つ画面(TV・ゲーム・タブレット・スマホ)を見ると生活リズムを崩し寝つきが悪くなります。ゲームやスマホをする時間の割合は、寝つきの悪さや寝る時間に影響するデータもあるそうです。

子どもにとって睡眠は、脳を創り、脳の働きを育て、脳の働きを守る役割があります。睡眠は子どもの脳の発達の時間であり、脳の働きを守る為に重要です。

睡眠の質が落ちると…○イライラしやすくなる ○衝動的で過度に活発になる

(参照:子どもの睡眠/E-ヘルスネット)

 

3:言語能力、社会性の発達に遅れが出る場合もある

3歳未満の子どもが、1日にテレビを長時間見ていると注意欠陥や、学習障害、衝動性の上昇、自己コントロール能力の低下が引き起こされる報告もあるそうです。大人が子どもの前でゲームやスマホをしたり熱中したりする事も、原因の一つに挙げられるとの事でした。

今できることの一部紹介(研修資料より参照)

1:スマホを使わないで遊ぶ時間も作る。大人や同年齢の子とコミュニケーションを取ったり、大人に抱きしめられたりする。

2:五感が育つように、自然の中で遊びを通しての体験をさせる。

3:子どもの前でスマホ等に熱中している姿を見せない。使用する際は、ルールを守り親子で守る。

日常生活に欠かせないICT…上記のようなことは分かっていても、すぐにやめることは難しいですね。乳幼児のICT使用調査からみえてきた実態を聴くと、使用状況によっては、子どもの発達に悪影響を及ぼしかねないものだと改めて実感しました。別の小児科医の先生も「メディアにむしばまれる子どもたち」という本の中で、大人には便利な電子機器が、子どもにとっては「心身の成長発達を脅かしかねない前代未聞の問題」であることを突き止められこの10年深刻さを訴え続けているそうです。慢性疲労があり、無気力で表情が乏しい子ども達が増えてきている、と先生は感じているそうです。原因がICTの場合、重大な病気として検査が必要ではなく、ICTと距離をおき、早寝早起き、朝食をとることで十分回復できるそうです。問題の本質さえしっかり認識出来れば、子ども達は元気に逞しく育つ事ができ、苦しむ子ども達も十分に回復できるのです。

 

乳幼児期の成長にとって欠かせない【遊び】

五感を使い、身体を動かし、人と関わる事が乳幼児期の遊びです。外で遊び、おもちゃや本と触れ合い、砂場で遊ぶ等、様々な体験をする事が脳や身体の発達にも不可欠だと分かりました。悪いのは『メディア漬け』になる事で、ICT全体が悪いのではありません。ICTの発達により私たちの生活は豊かになっていることは確かです。子ども達が大人になる頃には、生活の中心にICTが存在する社会になると思われます。その時にICTと上手に付き合い幸せに生きていくための、土壌作りが乳幼児期には大切になります。

今後も変化を続けるICTと、ご家庭でもうまく付き合い利用していけるようにする事が大切です。お子様が大きくなるまでは親子で一緒に楽しみ、年齢や発達に合った質の良いものを選んだり、使用時間などの約束を決めたりと、幼いうちから家族でICTの使い方を考えていけたらいいですね。

 

ちなみに…

youtubeは、13歳未満の使用は推奨されていないそうです。関連動画が次々出てくる仕組みのため、子どもには見せたくないような動画に飛ぶことも…。youtubeの運営会社が用意した、子ども向けの「youtubekids」というアプリがあります。

また、tiktokというSNSも同じような仕組みです。こちらのアプリは、ペアレンタルコントロール設定が出来るそうです。使用時間の制限や、未成年に不適切な動画のフィルタリング、検索制限などができます。

小学生の間で流行しているゲームも、対象年齢が決まっていることが多いです。大人も楽しめる素敵なゲームが多いですが、今一度、子どもにとってはどんな内容か見直してみることも必要かもしれません。

 

文責:大迫

 

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