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2019.10.10

ブログ

主任だより ごっこ遊び

今回のブログは、ごっこ遊びについて。

ごっこ遊びといったら、どんな姿を思い浮かべるでしょうか?家族ごっこ?戦いごっこ?

子どもたちはイメージの世界に浸って、とても楽しそうですよね。

私は、ごっこ遊びはとても興味深い遊びだと思っています。

子どもたちは、なぜごっこ遊びをするのでしょう。

ごっこ遊びは、どうやって始まるのでしょう。

ごっこ遊びをすることで、どんな育ちがあるのでしょう。

 

ごっこ遊びの中に見える子どもたちの姿は、観察すればするほど気付きがあります。

同時に、保育士としてどんな環境(素材・用具だったり遊びだったり、声掛けだったり…)の提供が必要かも見えてきます。

 

さて、では実際にごっこ遊びの姿をご紹介します。

 

園庭を横切った際に、4歳児クラスの子ども4人が遊んでいる姿を見かけました。

どうやら、ごっこ遊びをしている様子。女の子二人が大人役、男の子二人が子ども役のようです。

残念ながら見かけた時にはもう遊びが始まっていたので、どのようにごっこ遊びがスタートしたのか分かりませんでした。

興味深いのは、子ども役に話しかける女の子二人の声音です。

普段よりもずっと柔らかい声です。心の内にある大人のイメージに基づいた大人役になりきっているのが分かります。

また、この声の使い方によって男の子へ、私はお世話をする優しい大人役ですよとイメージを伝えています。

男の子二人も、その声の雰囲気を感じ取り子ども役を続けていますね。

 

 

築山をお店に見立てているようで、走っていく女の子二人。男の子が泣き真似をした後の光景がこちら。

しっかりそれを聞き取って戻ってきた二人は、まだ大人として振舞っています。

男の子二人は、子ども(おそらく赤ちゃん)になっているので喋りません。シールはいらない、と動作で表現しています。

振り払われた瞬間の女の子の表情。一瞬、現実に引き戻されて思考しているのが伺えます。

これがもし、ごっこ遊びの最中でなければ怒ったかもしれませんね。

彼女の中で、赤ちゃんだから喋らない=いらないと伝えていると答えが出た後は、またごっこ遊びの世界へ戻っていました。

 

この日の彼女たちは、お互いの心の内のイメージを共有しあい、一緒になって見立てをし、役割に沿って動くことを楽しんでいました。

子どもたちは打ち合わせをせずともイメージが共有できていれば、イメージの世界で遊び続けることができます。

 

4歳児のこの見事なごっこ遊びを観察すると、改めてごっこ遊びの面白さを感じます。

 

ごっこ遊びは子どもたちが、子どもたちだけでするものではありません。

 

園庭の環境に、台所や机として機能するテーブルや椅子があり、料理作りの模倣ができるお皿やお鍋があること。

また、これまでに、ご家庭や保育園で大人の柔らかな声を経験していること、優しく語り掛ける大人の姿を見ていること。

更に、泣いた時に、「どうしたの?」とすぐにそばに来てもらった経験があるからこそ、子ども同士でイメージの共有ができ、このようなごっこ遊びが成立しているのです。

 

さて、その後…今度は3歳児の女の子4人が集っている姿を見かけました。

ごっこ遊びのスタートになりそうな「買ってきて」の言葉が出ましたが、集めていた貝殻のみせあいっこへと変化していました。

「シールを買ってくる」というイメージが4人全員で共有するには難しかったのでしょう。

貝殻の見せあいっこという提案の方が、分かりやすく魅力的だったようです。

 

こちらは、同じ3歳児でもごっこ遊びが発展していった様子。

「赤ちゃん」「風邪をひいている」というイメージの共有が出来ています。

風邪を引いているから、薬を買ってくるというアイディアの提案は、もう一人にもイメージが伝わり「いいよ」と返事が出ていますね。

一方で、「お姉ちゃん?」と触れて相手の役を提案しますが、これは反応を得られず。

「お姉ちゃんになる人ー?」と聞いてみますが、この後は赤ちゃん役が「シャワーあびたい、えーん」と言い、そちらの提案が採用されていました。

風邪を引いている赤ちゃんのお世話をする人の役を決める交渉は、うまくいかなかったようです。

 

 

ごっこ遊びは、常に予想外の連続。相手が自分の思うとおりに動くとは限りません。

そんな中でも、瞬時に思考して判断して、ごっこ遊びの世界を壊さないように、ごっこ遊びの世界から置いて行かれないようにしています。

 

自分の今までの経験と、相手の言葉や顔、体の動きを見て瞬時に判断する力で成り立つ遊び。

また、3歳児のごっこ遊びを見て分かるように、よりイメージが共有しやすく魅力的な提案が採用されていくことが分かります。

その場をまとめるリーダーシップも必要になりますね。

このような高度な遊びを繰り返ししていれば、ぐんと上記の力が育つことでしょう。

 

相手の言葉や顔、体の動きから意図を汲み取り、考えて判断する力。相手に自分の考えていること、イメージが伝わるように分かりやすく伝える力。より良いアイディアを思いつき提案する力。その場をまとめるリーダーシップ。

ごっこ遊びで育つ力が、社会で生きていく上で必要になるのは明白ですね。

 

そんな大切な遊びが、より盛んに行われ、深められていくよう保育士側は、子どもたちをよく観察し興味に沿った環境を用意したり、心に響く様々な経験を味わえるよう計画を立てていかなくてはなりません。

3歳以上児になると、休日の出来事を盛んに話したり、ごっこ遊びにも取り入れようとしたりしていますから、ご家庭での出来事も積極的に聞いて保育園でも取り入れていきたいところです。

お出かけされた際は、ぜひお出かけ先のパンフレットなり写真なり、持たせて頂けると嬉しいです^^

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