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2024.09.18
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昼間のもも組音楽会♪
「つきよのおんがくかい」(福音館書店/山下洋輔文・柚木沙弥郎絵・秦好史郎構成)
この絵本が子ども達は大好きです!読み聞かせが終わると「僕ベース弾いてみたい!」「私はピアノがいい!」と絵本に出てくる楽器の話題になり、演奏する自分をイメージして楽しんでいます。一番人気はドラム。TVや動画で見たことのある演奏シーンや聞いたことのある音を思い浮かべながら、スティックを持って叩く真似をするなど、それはもうノリノリです♪
そこで、園にある様々な楽器を用意して、月夜ならぬ「昼間のもも組音楽会」を開催してみることにしました。
楽器に親しみ、自分の感情や意思を表現する
今回は、鈴、タンバリン、カスタネット、ウッドブロック、マラカスを揃えました。
「僕はこれがいい!」「私はこれにしてみる!」
それぞれに使いたい楽器を手に取り、まずは自由に音を鳴らしていきます。
とにかく音を鳴らすことが楽しいようで、何度も繰り返したり、友達が使っている楽器を見て「あっちがいい!」と交換したり。中には力いっぱい楽器を叩いて「手が痛い…」と手のひらをじっと見る子も。
「音を鳴らす」という一つの行動の中に「楽しい♪」「あれもやってみたい!」「(楽器を叩いて)手が痛い」「もうやりたくない」など、様々な感情や意思が飛び交っていました。
このように、まずは大人に対して感情や意思を表現し、それから他の友達に対して感情や意思を表現していくことが、道徳性・規範意識の芽生えの始まりなのだなと改めて感じたところです。
道徳性・規範意識の芽生えは友達との関わりの先にある
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の一つに「道徳性・規範意識の芽生え」があります。子ども達は、友達と様々な体験を重ねる中で、してよいことや悪いことがわかり、自分の行動を振り返ったり、友達の気持ちに共感したりし、相手の立場に立って行動するようになります。
また、きまりを守る必要性が分かり、自分の気持ちを調整し、友達と折り合いを付けながら、きまりをつくったり、守ったりするようになります。実際に、楽器遊びを数回繰り返すうちに、「(楽器は)こう持つんだよ」と気付いたことを友達に対して発言する姿が見られました。気持ちが高揚し、ただやみくもに大きな音を出す時には「うるさいよ!」、ウッドブロックのバチで戦いごっこが始まった時には「あぶないよ!」と注意し、注意される姿もありました。
正しい持ち方を教わったり、「うるさいよ!」と言われてハッとしたり、バチが体に当たって痛い思いをしたりという実体験を伴ったことで、「これはしてもOK。これはしてはだめなんだ。」ということがわかり、だんだんと子ども達なりに考えながら行動するようになっていました。
この先、楽器遊びを繰り返していくと、「ピアノの音(伴奏)に合わそうよ」や「こうした方がいいんじゃない?」など、大人や友達に対して「自分はこうしたい」という感情や意思をより具体的に発言する姿が見られるようになると思います。そして、そうするためにはこうしよう!というみんなで守る「きまり」が作られていくだろうと想像します。他の遊びでもそうですが、いい思いばかりすることは決してないでしょう。
使いたい玩具が使えない、大きい音(声)を出せないなど自分の思いが通らずに、苦い思いを味わうことが必ず出てくると思います。ですが、自分の感情や意志を表現しながら、ときにはぶつかり合って葛藤することで、はじめて相手にも気持ちがあることを知り、互いに理解し合うことが出来るようになるわけですから、ぶつかり合う前に大人が止めてしまうと、相手の気持ちや考えを知ることなく終わってしまい、道徳性や規範意識の芽生えが育まれません。
何気なく遊ぶ中で起こっているトラブルも、子ども達同士の大事な自己主張のぶつかり合いの機会と捉え、怪我に繋がりそうな場合以外は、子ども達が自分の感情を表現し、言葉で伝えようとする姿をそばで見守って、理解し合えた時の嬉しさを一緒に感じていけたらと思います。
次々と湧きあがるやってみたい!
楽器遊びの回を重ねるごとにやってみたい!が増えていく子ども達。「今日はこれ!」というように、まだ使ったことのない楽器があると、目を輝かせて手を伸ばしています。「僕、歌うたいたい!」と自分の声で表現する子もいます♪使ったことのない大太鼓、小太鼓、ピアノ(キーボード)まだまだ子ども達のやってみたい!が尽きることはなさそうです。
これからも、子ども達同士の葛藤を見守りながら「もも組音楽会」をはりきって開催して楽しんでいきたいと思います。
文責:上岡 引用:幼保連携型認定こども園教育・保育要領「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」