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2024.09.17
ブログ
さくら組(5歳児) 正解ではなく納得解を ~おにぎりの具の話し合い~
はじめに
さくら組では、7月末からおにぎりづくりに挑戦しています!
毎回、給食室から1日に食べるお米(10合)を全てもらい、自分たちでお米を研ぐところから始めます。
大事な昼ご飯のお米ということもあって、1粒1粒を大事にしながら真剣に取り組んでいます。
今回は4回目のおにぎりづくり前のサークルタイムの内容を、お伝えします。
なかなか決まらない「おにぎりの具」
1回目、2回目はシンプルな塩おにぎりを作り、
3回目は焼きのり、味付け海苔の食べ比べも楽しみました。
握り方も回数を重ねるごとに少しずつ上達していきました。
そして4回目はいよいよ、具ありのおにぎりに挑戦することになりました。
子ども達からは、これまで食べてきたことのあるおにぎりの具がたくさん出ました。
多数決の末、第1位は「しゃけ」に決定!
しかし、そうとなると1つみんなで考えなければならないことがありました。
さくら組には、魚アレルギーのRちゃんがいます。しゃけおにぎりが食べられません。
みんなもRちゃんは大好きな魚が食べられず、給食時間もアレルギー除去食を食べているということを知っています。
そこで、保育者の提案により「しゃけ」と僅差で人気だった4つの具の中から2種類目を選ぶことになりました。
みんなも2種類も作れるとわかって大喜びです。「おかか」は魚でできていることと知って選択肢から外すことにも納得してくれました。
「うめ」10票
「こんぶ」9票
「えだまめ」1票
「ゆかり」1票
この結果から、「うめ」に決定~!…と数だけをみれば決まりそうでしたが、少数派の「えだまめ」、「ゆかり」を選んだ2人にも相談してみました。
すると2人が上位2つの「うめ」と「こんぶ」から選びなおすことに承諾してくれたので、結果が次のように変わりました。
「うめ」11票
「こんぶ」10票 (そのうち1人はRちゃん)
再び、「うめ」がわずか一票差で最多でした。
これでいよいよ決定か?と思われましたが、
「しゃけ」がたべられないRちゃん、
「うめ」もとても苦手だそうです…
みんなもRちゃんもハッピーなアイデアを
担任から、
「Rちゃん、お昼ごはんのおにぎりなのに、好きな味が1つもないことになっちゃうね」
と話すと、
子どもたちからは、
「うめじゃなくてこんぶに変えてもいいよ」という子もいましたが、
一番人気だったのに「うめ」が食べれないということに納得できない子もいました。
「なにかいい考えはないかなぁ?」と再び担任が投げかけるも、しばらく沈黙が続きました。
友達の気持ちを考えて自分の思いを譲る子、
長い話し合いの末決まったことを覆したくない子、
担任としてはどちらの気持ちもわかります。
また、全員がRちゃんの気持ちや立場を理解しているけれど、自分の気持ちとの折り合いのつけ方がそれぞれちがうだけということも。
う~んと考え、少しずつみんなの手が挙がり始めました。
「みんなはしゃけとうめにして、Rちゃんだけ違う味が食べられるようにしてあげたら?」
「2つとも苦手なのはかわいそう。今回はしゃけとこんぶ、次作る時にうめと何か別の具にしたら?」
「同時に3つ作っちゃえばいいんじゃない?」
出てくる意見を聞いた子ども達から「なるほど~!」という反応やすっきりした表情が見られました。
そして意見を整理したり比較したりした結果、
今回は「しゃけ」と「こんぶ」に決定!
「うめ」は次回作ることに決まりました。
「うめ」を希望していた子も次回作れるとわかり、気持ちよく納得してくれました。
正解ではなく納得解にたどり着く
今回の話し合いでは、100%自分の思い通りになったという子はいなかったかもしれません。
しかし、今回は味の好み、アレルギーの有無などの違いも含めて、共におにぎりづくりに挑戦する子どもたちが
相手の思いも大切だけど自分の思いも同じくらい大切にしたい!
自分も思いも大切だけどやっぱり相手の思いも大切にしたい!
じゃあどうしたらいいだろう???
と、対等な個と個として互いを認め合い納得解を探ることで成立した話し合いでした。
「自分がおいしいと思っている横で、すきなおにぎりが1つも食べれない子がいるのは嫌だな」
「自分がRちゃんだったら悲しい」
「みんなで食べてるからみんなで美味しいねって言いたい」
自分の思いも大切に、だけど一緒に活動する友達の思いも大切にしたいからこそ
新しい意見を柔軟に受け入れられたのではないかと思います。
時間はかかりましたが、それぞれが自分の思い、友達の思いの間で葛藤しながらもじっくり考える機会が得られた貴重な話し合いとなりました。
仮に大人のペースで進め、大人の価値観で意見を押し付けていたとしたら、このような子どもたちの姿は見られなかったと思います。
大人も焦らず子どもたちから意見が出るのを待ってよかったと心から感じました。
大人が先回りしなくても、子どもたちは自分にとって抜き差しならない状況下で真剣に目の前のことを考え、解決策を導き出すことができています。
また、自分達が意見を出したことで解決につながった!という手応えを子ども達が感じていることも、表情から伝わりました。
今後も子ども達が目の前の活動の課題を自分達で解決していける日々をサポートしていきたいです。
文責:椎屋