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2024.11.12
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さくら組(5歳児)フェスティバル見どころ紹介①「おにぎり屋さん開店までの道のり」
今年のさくら組はフェスティバルで
「おにぎり屋さん」と「おもちゃ博物館」をします。
今回はプロジェクト保育として夏から継続して取り組んできた「おにぎり」の活動や子どもたちの姿をご紹介します。
きっかけとテーマ設定について
きっかけは朝のサークルタイムです。「朝ごはんでなにを食べてきた?」という話題で「おにぎりを食べてきた!」という子が多く、家庭のおにぎりの具や形を紹介し合うとても楽しい時間がありました。
近年おにぎりは「手軽にバランスよく栄養をとることができるソウルフード」として海外からも注目されています。私たち日本人にとって身近なおにぎりをプロジェクト保育の軸として取り入れることで、楽しく食への興味を深めたり人とのつながりを感じられたりするのではないかと考えました。
また、大人からすると一見簡単なおにぎりを「握る」という動作ですが、子どもたちにとっては力加減や手首、指先の動きなど初めて意識することがたくさんあり、脳をとても刺激する活動です。
ただ楽しいだけではなく、少し難しい課題を乗り越えるために一人ひとりが手と頭をどちらも使いながら挑戦することで、大きな達成感や充実感も得られるのではないかと考えました。
みんなで味わう 「まずはおいしく食べることを楽しもう!」
まずは話し合いをしながら、毎週食べたいおにぎりを決めていきました。
塩おにぎりから始まり、海苔、梅、鮭、昆布、コーンバター、炊き込みご飯(枝豆昆布、サツマイモ)などたくさんのおにぎりに挑戦しました。
楽しく食べることを1番の目的としていたので、「おいしい!」と感じる経験から、子どもたちからは「ほかの味にも挑戦したい!」という意欲や「次はどんな味が食べられるかな?」という期待感の高まりが感じられました。
また、
「塩だけでもこんなにおいしいんだ!」とお米そのものの味のおいしさを再確認したり
「炊き込みにすると、色はつくけど、昆布の味が薄くなるね…(枝豆昆布)」
など、味についての比較もしていました。
さらに、保育者は個々の感覚を元に思考を深めてほしかったので、できるだけ素手で握ることにこだわりました。手で直接触れたことで
「ベトベトしてうまくまとまらないなぁ(コーンバター)」
「真ん中に入れるのがこんなに難しいって知らなかった…(梅)」
「手に水をしっかりつけないと、お米が手にいっぱいくっついてまとまらない…」など、自分の手で触れることで様々な壁にぶつかりその度にどうすればよいかを考える姿が見られました。
「次は、こうしてみよう!」と工夫しながらたくさんのおにぎりを握り続けていくことで、子どもたちなりに「上手くできた!」という手応えも感じられるようになり、
最終的にさくら組の子どもたちの間では、
「もっときれいな形(三角形)のおにぎりを作れるようになりたい‼」
という思いが最も強くなっていきました。
単に作って食べることを繰り返すだけではなく、子どもたちの中で毎回新しい発見やもっと知りたいという欲求が生まれ、活動を通して探求心が深まっていく姿が素敵でした。
みんなで深める 「おにぎり屋さんに学びに行こう」
「家族に自分が握ったおにぎりを食べてほしい」という意見が話し合いで出たので、フェスティバルでおにぎり屋さんを開くことが決まりました。
「お客さんに食べてもらうおにぎりをつくる」という新たな視点に立った時、自分たちだけでは分からなことがまだまだたくさんあることに気付いた子どもたち。そこで、「家族に喜んでもらいたい!」という共通の目標のもと、山下町にある「あすたべ」というおにぎり屋さんに行き教えてもらうことになりました。
事前に質問したいことを話し合うと、
「手に漬ける水の量が多すぎるとお米がてかてかする、少なすぎると手におこめがついちゃう」
→ちょうどよい水の量を知りたい
「1つのおにぎりでも塩の味が薄いところ、濃いところができてしまう」
→おいしい塩のつけ方を知りたい
など、経験して困ったり気になったりした経験から技術面に関する質問が次々と出てきました。グループごとに一番聞きたいことを選び質問する練習をして臨みました。
見学日当日は、オーナーの福元さんによる2種類のおにぎりの実演、質問タイム、注文していたおにぎりの受け取りなど貴重な経験をすることができました。
毎日お客様のために作るプロの握り方を目の前で見ることができ、たくさんのことを吸収していた子どもたち。その場で握り方を真似する子もいました。
また、開店前のお忙しい時間でしたが、福元さんご夫婦はとても優しく丁寧に一つ一つの質問に答えてくださいました。時間の都合上すべてを聞くことはできませんでしたが、事前に伝えていた15問程の質問すべてへの回答をプリントしてまとめてくださっていました‼
みんなで極める 「教わったことを実践しよう」
実は、2グループに分かれて2つのバス停(無線前、吉野郵便局前)から乗車予定だった見学日にハプニングがありました。当日はひどい大雨、そして事故渋滞のため無線前から乗る予定だったグループのバスが大幅に遅延し見学に行くことを断念することになりました。
行けずにとても悔しそうだった無線前チームの子どもたち。しかし、吉野郵便局前グループが雨の中持って帰ってきてくれたおにぎりを食べて、「残念だったけど、あすたべさんのおにぎりを食べたら元気が出てきた」と前向きな気持ちになっていました。
その日のうちに教わったことをサークルタイムで共有し、伝える側の郵便局前チームも責任をもってしっかり報告してくれました。
その3日後、教わったポイントを意識して早速おにぎりを作りました。
「きれいな三角の形になった!」
「すぐに思い通りの形になった!」
「塩がバランスよくついてる」
「ふわふわでおいしい!」
と、納得いくおにぎりをつくることができました.
後日、無線前チームも無事にあすたべさんに行くことができました。直接見聞きして得た知識は、一方的に教わる情報よりもとても印象に残るものです。子どもたちは、自分の行動や言葉によって獲得した情報をもとに納得いくおにぎりを作ることができて、とても大きな充実感や満足感を得ているようでした。
さいごに
おにぎりと並行して、手作り味噌での味噌汁の研究をすすめています。具を追加しながら試飲を繰り返し、こだわりの味噌汁ができそうです。
また、手際よくおにぎりを提供するために、2個同時に作る練習、テーブルに運ぶ練習、お店に必要な看板やメニュー作りなど、開店準備も進めています。当日は、これまでの学びの探求の結果としてお店屋さんを大成功させたいと思います!
文責:椎屋
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