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2019.07.27
ブログ
主任だより 音楽、リズムに関する表現
主任だよりで度々言っている「保育所保育指針」。保育を行う上で軸として非常に大切です。
そもそも保育とは、子どもを「保」護し、教「育」すること。生命の保持と情緒の安定、教育を一体的に行うことです。
保育所、幼稚園、認定こども園…各園によって多少の手段は違えど、目的は同じ。
職員は、この「保育所保育指針」と園の方針に則って、保育を行っています。
さて、先日二歳児クラスの朝の様子を見に行きました。
丁度みんなで歌を歌っているところでした。園で一番人数の多いクラスなのですが、いつ覗いても落ち着いています。
耳を澄ますと、職員たちの言葉遣いや声のトーンの穏やかなこと…!
職員が、子どもをしっかり受け止め共感することにより、子ども達は安心して自分の気持ちを言葉や声、態度で表現することが出来ています。
折角だったので、全体の様子を録画してみました。
後から見返してみると、歌うのが好きでとにかくニコニコと歌う子、あまり口は動かないものの歌に合わせて手ぶり身振りで表現する子、皆の歌声を静かに聞いている子、あまり興味がないのか別の方向に視線を向けている子と様々でした。
その後、リトミックが始まると、別の方向を向いていたり、静かに聞いていた子がにっこり笑って、音楽に合わせて体を動かし始めていました。逆に先ほど元気よく身振り手振りで歌と親しんでいた子が、首を曲げて見学態勢に…。
こうして見ると、「音楽、リズムやそれに合わせた体の動きを楽しむ(保育指針・1歳以上3歳未満児の表現より抜粋)」といっても、ひとりひとり楽しみ方が違うのですね。
ひとりひとりの楽しみ方、親しみ方を把握したり、ひとりひとりに合わせて楽しみ方を考え提供したりするのは、簡単にできることではありません。
全体を一歩下がって客観的に見る機会もなかなかありませんので、今回のように部屋を訪れて録画していき職員たちの保育の振り返りの手助けになればと思います。
さて、「音楽、リズムやそれに合わせた体の動きを楽しむ」には他にどんな遊びがあるのでしょう。
例として、3歳児の遊びをご紹介します。3歳未満児と3歳以上児では保育指針が分けられています。3歳以上児は
「音楽に親しみ、歌を歌ったり、簡単なリズム楽器を使ったりなどする楽しさを味わう」とあります。
これは楽器遊びの様子。職員が「おおきなたいこどーんどん♪ちいさなたいこ、とんとんとん♪」と歌っていると、子ども達は歌に耳を傾けながら叩く強さを自分で調整していました。上の写真は小さな音を出そうと慎重に手を動かしている姿、下の写真は自分が出した大きな音が予想以上の大きさで思わず目をつむっている姿です。
聞いていた子どもたちも、「うわあ、大きいねえ」「びっくりしたー」「きょうりゅうみたい」「かみなり」と音について各々感じたことを言葉で表現していました。
ピアノで「トンタッタ♪」「トンタントンタン♪」「タタタタタタタ♪」とリズムを変えたり、音の高さを変えたりするたびに、楽器を叩くリズムや子どもたちの体の動き、表情まで変わります。音を聞いて自分なりのイメージを表現することを楽しんでいました。
合奏ですと既存曲を決まったリズム通りに演奏しますが、楽器遊びならばピアノはリズムのみにして、各々の表現で音楽に親しむことも良いのだと思います。
予想以上に集中(ここでいう集中とはじっと座っているということではなく、楽器遊びをしたいという気持ちが途切れていないということです)していたので、鉄琴を出しました。鉄琴はとても繊細な音がします。最初聞いた時、子ども達は自然と静かになって耳を澄ましていました。横になでるように打つと、流れるようなきれいな音。子どもたちは、うっとりとして手を叩いて喜んでいました。
最初は職員が順番を待つお手伝いをしましたが、そのうち子ども同士で「◎回鳴らしたら交代ね」とルール決めを行っていました。渋ることもありつつ、ひとりごとを言いながら気持ちの整理をつけて交代も出来ていました。
周りで聞いてる子どもたちは、「この音(シ)が一番きれいな音がするね」「りーんっていうね」と感想を述べあっていました。
3歳児というと、きゃー!と大きな声を上げたり走り回ったりしているイメージがありますが、子どもたちが本当に遊びこんでいる時、こんなにも落ち着いて言葉を発したり表情を変えたりとするのだなと改めて思いました。
今回は「表現」の音楽、リズムに親しむ分野についてブログを書きました。ここで、保育所保育指針ハンドブック(監修 汐見稔幸)から解説を抜粋します。
子どもは音を聴くことで、自分も音を作ったり、歌ったりし、何かに触れることで、作品をつくったり、身体表現をします。
自分の中に様々体験が蓄積されることで、表現は生まれるのです。
「これはこうするのだ」と型(やり方)を見せたり、指導したりすることは、逆に子どもの表現を閉じ込めてしまいます。
表現に正解を求めず、感性的な出会いをたくさん仕掛けていきましょう。