お知らせ
2020.05.22
ブログ
僕たちのお家
ある日の土曜日。きく組(3歳児)の子ども達が段ボールでお家作りを始めました。すると、その様子にさくら・もも組(4.5歳児)の男児数名が
「何してるの?」
と興味を示していたので
「段ボールでお家作っているみたいだよ~。やってみたい?一緒に作ってきたら?」
と声をかけると
「やりたい!やりたい!」
お家作りに参加。きく組は担任の協力をもらいながら作っていましたが、さくら・もも組になると段ボールだけ分けてもらって自分達で製作開始。隣の保育室にいると、
「ハサミ使っていい?段ボール切るから。」「段ボールと段ボールをくっつけたいから、あの…あの…ガムテープ下さい!」
と、必要な用具を次々に調達しに来る子ども達。今までの遊びや活動の経験から素材にあった用具が分かっています。(段ボールを切るならカッターの方がいいのですが、まだ子ども達は使ったことないので。何かを切る = ハサミ です。)
ハサミを使い始めたので様子を見に。
「ここを切ってドアを作りたい!」「えっ!?勝手にしないで」「ぼくはドアを作りたいの!!!」
お互いの意見が噛み合わず言い合いが始まっていました。しばらく様子を見ていましたが、2人の主張はなかなか収まらず。そこで私は
「あの…ちょっといいですか?今、お家を作っているのよね?えっと、1.2…5人で作っているなら2人だけで話しないで、他の人にもどうしたらいいか聞いてみたら?」
言い合いをする2人に周りの友達にも気付けるよう問いかけました。すると周りの子が
「ここにペンでドアの絵を描いたらどう?」
2人の意見の間をとるようなアイディアを。
「それいいね!」「うん!いい。いい。」
あんなに自分の意見の主張ばかりしていた2人も、その意見をスーッと聞き入れることができ解決。さぁ、お家作り再開。
横ではきく組が、担任と着々とお家製作を進め完成に近づいていました。担任は、
「じゃあ、こうする?」「だったらこうしたらいいかもね~」
子どもの意見や気持ちを引き出しながら保育士の情報やアイディアをそこに重ね、子どもが主体的にお家製作をしていけるように工夫していました。子ども達も担任の声に耳を傾けながら製作を楽しめていたようです。
(きく組の子ども達が担任と作ったお家)
そんな様子を横目に、さくら・もも組の製作も進んでいきます。
「屋根をつけよう。三角の屋根!」
土台となる段ボールの中に入り、切り開いた段ボールを手で支えながら土台の段ボールにガムテープでくっつけます。しかし、手の支えをとると三角屋根は崩れ土台からも剥がれる。すると、子どもの視点はガムテープが足りないから崩れる、剥がれるという視点に。そして、ベタベタとガムテープを貼り続けていました。これでは、ガムテープのムダ使いになってしまうな~と思い、子ども達の視点が別の方へ向けられるよう
「ねぇねぇ、たぶんガムテープたくさん使っても屋根を三角の形にするには難しいかも。さっきさ、S君が手で支えてたら三角の屋根が出来てたよね?ガムテープも剥がれなかったよね?」と問いかけ。
「あっ!じゃあずっと手で支えとけばいいんだ。」とS君。
「それもいいかもしれないけどS君動けなくならない?お家が出来ても遊べなくなるんじゃない?」
「そっか…。」しばらく考え・・・。
「あっ!!ここに(屋根と土台の間)何か立てたらいいんだ!」
子どもの視点が[ガムテープ]から[支柱]へ。それを聞いていた別の子が、余っていた段ボールを手に取り
「これを入れたらいいんじゃない?」「それいいね。」
そこからは子ども達の視点は的確にはまり、子ども同士の意見も飛び交い作業はどんどん進んでいきました。段ボールを切り開き立体の三角形になるようガムテープでくっつけ筒状の柱に。屋根と土台の間に立たせますが、屋根の端と土台が離れてしまいくっつけられません。【柱が長すぎる】ことに気付き、屋根と土台の大きさを目で計り【大体】の長さを自分達で決め切ります。そして、柱を取り付ける時も立たせるだけでは倒れてしまうことに気付き底の部分をガムテープでくっつけ、無事に三角屋根を取り付けることが出来ていました。意見の出し合いから子ども同士の対話は深まり、チラシを切って写真に見立て飾りつけをしたり等の工夫が施され、参加した子ども全員が納得いくお家が完成していました。
今回の段ボール製作、子どもの『やりたい・やってみたい』を受け止め、子ども達が主体的に取り組めるよう活動を見守りました。そして、この活動を通して子どもが身につけれることができると考えれる学びにポイントを置き、活動の中で子ども同士または子どもと自分(保育士)との対話を深められるよう工夫しました。
【学びポイント】
・協同作業をする
・用具の適切な使い方
・「○○だったら△△すればいい」等、別の考えや方法を見つける
・話し合う・折り合いをつける
・共感しあう …等
活動を振り返ると、対話が深まるほど「あ、今気づくことができた」「相手の気持ちを汲み取れた」「あまり、主張しないけど自分の考え言えてる」など子どもの主体的な学びがありました。この活動で、身につけつつある学びをこれからの遊びや活動の中でさらに学べるよう、見守りと対話を大事にしていきたいと思います。
このお家、2日ほどで壊れてしまいました。子ども達は「壊れちゃった…」の一言。ここから「壊れないようにするには…」と考えが発展できるよう、また子ども達の活動の様子を見ながら対話をしてお家作りの活動を広げていこうと思います。ちなみに、きく組のお家は3軒目に突入してます!!
(文責:以上児リーダー中江)