お知らせ

2025.09.09

ブログ

「野菜スタンプで遊ぼう!」〜1歳児の感触あそび〜

 

はじめに

春から育てているクラスの夏野菜をつかって「野菜スタンプ」の活動をしました。普段から給食の具材として目にする野菜たちが、カラフルでユニークな形の画材に大変身!子どもたちは興味津々で手に取り押していました。そのときの子ども達の様子をお伝えします。

野菜の形や育ちに注目

まずは、プランターに育つ野菜を収穫しました。葉っぱのうらに隠れている野菜を見つけて「ナス!」「ピーマン!」と指をさして注目していました。切った野菜を手渡すと、先ほどまで茎からつながっていた実が目の前にあることが不思議そうでした。普段食べている野菜の自然でのありのままの姿がこうなのだ、と気付く機会になりました。

手に取ってみると、「つめた!」「つるつる!」と感触を楽しんだり、「おっきいとちいさい!」「ふわふわだね」「においする!」と大きさや形、香りに注目し、子どもたちの観察力が光っていました。

断面に注目

持ち帰った野菜を、絵本を見ながら断面に注目し、実際に目の前で切って確かめました。

また、オクラやピーマンは、中が空洞になっていたり種が入っていることにも触るなかで気付いていました。

ゴーヤも中央のわたのフワフワ、外側のごつごつ感など、触れることでわかる違いに気づいていました。

子ども達を刺激する魅力的な野菜ばかりでした。

こうした小さな発見は、直接的な体験を通して生まれる学びです。普段、給食で見ている野菜が、どのように育ち、どんな形をしているのか——それを実際に触って、見て、確かめる経験は、1歳児の「なんだろう?」「どうして?」という探求心を大きく刺激していました。

スタンプを押す姿から

保育士が絵の具を付けて紙に写すことで、断面の形をより明確に認識していました。不思議な形に興味津々の子ども達。自分もやってみいう意欲が個々に高まっていました。

特に印象的だったのは、野菜をしっかり握って押すときの力加減。うまく押せた時には「わあ!」と嬉しそうな表情を見せ、何度も繰り返す姿がありました。普段の生活ではあまり意識しない“押す”という動作も、このような活動を通じて経験できるのだと改めて実感しました。また、スタンプを押す位置や色と野菜の組み合わせを自分で選んだり、「もっとやりたい!」と集中して取り組んだりする姿から、一人ひとりの興味や好奇心が大きく広がっていることが伝わってきました。

その中でも抵抗感を示す子はいました。絵の具に触れることにはじめは嫌がっていましたが、決して興味がないわけではなく遠目からじっとお友達がスタンプを押す様子を見つめ続けていました。そして、最終的には本人のタイミングで最後にスタンプを押すことに挑戦することができました!野菜スタンプの活動以前に実施した、「筆」を使った絵の具の活動には挑戦できていなかった子だったので、今回、本人の心が自ら動きチャレンジした姿がとても嬉しく感じました。

これらの子ども達の姿を通して、手で押す力や、スタンプを握る・持ち替える・押すといった手指の動きの巧緻性が育まれていることを感じました。また、押し方や野菜の置く位置も個性が出ていました。まるで野菜が踊っているように断面が紙の上に写し出されました。

子ども達しかできない表現を楽しめている様子、先述した筆では描けなかった子の様子から、表現する際に子どもの表現を制限することのない環境や道具の準備を大切にしていきたいと痛感しました。

 

最後に

野菜スタンプは、感触あそび・色遊び・手先の発達支援など、さまざまな面で子どもたちの育ちに寄り添うことができる活動でした。今後も、楽しくてちょっぴりチャレンジのある経験を通して、子どもたちの「やってみたい!」の気持ちを育んでいきたいと思います。

野菜スタンプの活動では、握る・押す・離すといった一連の動作の中で、手や指の力加減や使い方が自然と育まれます。特に1歳児にとっては、まだまだ発達途中の手指の巧緻性を養う良い機会になりました。

感触あそびとしてだけでなく、自然の成り立ちへの気づきや「やってみたい!」という気持ちを引き出す活動となりました。今後も、子どもたちの「小さな一歩」を大切にしながら、豊かな体験を重ねていきたいと思います。

 

参考文献 『保育内容 5領域の展開:保育の専門性に基づいて』(2022) 高山静子 郁洋社

文責:椎屋

当園についてや入園に関しては
お気軽にお問い合わせください