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2025.01.14
ブログ
パーティーの話し合い ~みんながHAPPYかを基準に~

はじめに
1ヶ月ほどの話し合い期間を経て、ようやくフェスティバルのお疲れ様パーティーを12月末に行いました。楽しい!やってみたい!と思うことを実現できるようにと、あらゆる方法を考えるなかで改めて見えてきた話し合いの役割をお伝えいたします。
話し合いの内容
1.ドーナツは揚げるから無理?
パーティーで食べたいものを話し合ったときのやりとりです。クッキー、ゼリー、ピザ、ドーナツなど10種類以上の意見から絞っていきました。
子どもたちは、意見として挙がった食べ物の数が多いため、すべてを食べることはできないことを理解していました。子どもたちなりに「美味しさ」「調理方法」「食べやすさ」「食べるときの楽しさ」などを根拠に、残したい食べ物を伝え合っていると、
「ドーナツは、油であげるから危ないと思う」
「家で作ったとき、ママが大変そうだった」
など、ドーナツを作る工程の難しさを根拠に、選べないという意見がありました。
みんなの意見を聞いた後の多数決では、ドーナツはわずかな差で選ばれませんでした。しかし、最初にドーナツを意見として出した子が、涙目になって「でも、ドーナツが食べたい」と力強く伝えてくれました。
その様子を見たみんなから、
「揚げるのがちょっと難しいかなーって思うだけ…本当はドーナツ食べたい。」
「火傷するのが怖いんだよね。作らないとダメ?買ってくるとかは…???」。
調理方法が気がかりなだけで、本当は皆食べられるならば食べたかったのです!
「ドーナツってわっかの形をしているのがドーナツじゃないの?」
「ドーナツって揚げないとドーナツじゃないのかな?」
そもそもドーナツとは?を考える面白い意見もでてきました。自由に話し合うなかで、揚げないドーナツ(焼きドーナツ)など自分たちで作れそうなドーナツがあることを知ると、少しみんなが明るい表情に!作れる可能性を残し、その日の話し合いは一旦終了。次回、欠席していた子にも話を聞いてもらい最終決定することになりました。
知っているドーナツは難しいかもしれないし、危ないかもしれないけど、大好きで魅力的な食べもの。諦めるだけでなく、どうすれば食べられるのかを、視点を変えながら柔軟に考え直すことで何とか食べられる可能性が生まれました。したいことができるかも、とワクワクした瞬間でした。
2.突然の鬼ごっこのルール変更
大好きな鬼ごっこを3種類することに決まった子どもたち。当日、たっぷり遊ぶため事前に遊び係の子が集まりルールの詳細を決めることになりました。
実際に当日パーティーでやってみると、鬼が多すぎてすぐ終了してしまったり、時間が長すぎて走り疲れてしまったり、予想していない状況になりました。
「これでは、みんなが楽しめないぞ」と感じた係の子と担任からいくつか提案し、ルールなどを変更しました。話し合ったり確認したりしたため遊ぶ時間が減ってしまいましたが、全員が変更内容に納得しその後もスムーズに再開することができました。
一度決めたことであっても、実際に感じた違和感をそのままにせず、みんなで立ち止まって考えることでより楽しむことができました。
大人も子どもも「~ねばならない」から離れる
パーティーの活動は、楽しいことだけをするように見えますが、
・パーティーの計画(見通しを持つ)
・遊びのルール決め(協調性)
・クッキング(数量への興味、危険予測、役割分担)
あらゆる学びの機会が詰め込まれている活動だと感じています。
また、とことんしたいことをする!がパーティーの醍醐味です。「みんながHAPPYかどうか」が大事なので、毎年子どもたちによってパーティーの形は異なります。
今回の子どもたちの話し合いの姿から、大人も無意識にある「こうでなければならない」という発想を捨てて、あらゆることを柔軟に計画をしたり修正することの大切さを教えてもらいました。
さいごに
この1年間、話し合いを繰り返しているさくら組の子どもたち。話し合った結果、自分たちの思いを形にできる満足感や充実感、自分の本音を伝えてもみんなが受け止めてくれる安心感から、より話し合いの中身が深まってきています。意見の相違があることにも慣れ、「ではどうすればよいか?」という視点で物事を前向きに考えようとする雰囲気もみられます。壁にぶつかってもなんとかやってみよう!と前向きに考えるまっすぐな子どもたちとの話し合いは、学ぶことがたくさんです。
園生活もあと3ヶ月。みんながHAPPYになる手段としての話し合いの活動を今後も大事にしていきたいです。
文責:椎屋