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2021.01.18

ブログ

新聞紙遊びから見る子どもの育ち

12月、もも組の子ども達と新聞紙遊びを行いました。子ども達にとっては久しぶりの新聞紙遊びでしたが、新聞紙の性質を遊びながら学んだり一つの目的を持って友達と言葉を交わしたり応援したりとしていました。

それ以来、顔を合わせる度に「新聞紙遊び、次はいつする!?」と話しかけてくる子ども達。とても楽しい時間だったようです。

私としても、久しぶりに保育を行い楽しいひとときでした。また、子ども達の育ちにとって、保育者が保育のねらいを考え環境を整えることが大事であるか実感しました。

 

活動のねらい(子ども)

①千切ったり投げたりする中で新聞紙の性質に気付き、自分の想像するゴールに向けて試行錯誤する。(知識・技能の基礎  思考力・判断力・表現力等の基礎 )

②保育士が設定した目標に向けて、友達と協力しようとする。(学びに向かう力・人間性等)

活動の留意点(保育士)

・個人活動、チーム活動共に「なぜそうなるのか?」と子どもが疑問を持ち、考えられるよう素材を準備し、声かけを適宜行う。

・大きな怪我が無いよう、棚等の無いリズム室で行う。

・リズム室は空間が広く、集中が分散するため半分に仕切り空間を限定する。

 

今回は、保育指針(厚生労働省)の”育みたい資質・能力”と、現在のもも組の子どもの姿、4歳~5歳に見られる発達の特徴について踏まえた上でねらいを立てました。

 

◎育みたい資質・能力

”幼児教育においては、幼児期の特性から、この時期に育みたい資質・能力は、小学校以降のような、いわゆる教科指導で育むのではなく、幼児の自発的な活動である遊びや生活の中で、感性を働かせてよさや美しさを感じ取ったり、不思議さに気付いたり、できるようになったことなどを使いながら、試したり、いろいろな方法を工夫したりすることなどを通じて育むことが重要である。”

出典:文部科学省ホームページ 幼児教育部会における審議の取りまとめ(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/057/sonota/1377007.htm

 

◎発達の特徴

4歳→5歳

・バランス感覚が発達し、体の動きが巧みになる。(道具が使える)⇒運動機能がますます発達して、活発に遊ぶ。

・目的を持って行動する。⇒目的に向かって友達と同じ活動を行う。

・想像したり、イメージを膨らませたりして遊ぶ。⇒言葉によって、友達と共通のイメージをもって遊ぶ。

・仲間とのつながりが強くなる。喧嘩やぶつかり合いが増える。⇒仲間の一人としての自覚が生まれる。

・身近な人の気持ちを少しずつ感じ取るようになる。⇒自分の気持ちを伝えたり、相手の話を聞こうとしたりする。

 

活動の様子

実際の活動の様子を紹介しながら、遊びの中にどのような”育みたい資質・能力”が含まれているか考えたいと思います。

 

①新聞紙という素材に触れ、自由に遊ぶ。

 

新聞紙は、力を加える方向によって破れ方が違います。また、新聞紙の大きさによって投げた時の落ち方が違います。

投げてから床に落ちるまでの光景が好きな子は、自分の思い通りの落ち方になるよう細かく新聞紙をちぎっていました。

 

また、新聞紙を丸めてボールにすることで、飛距離が伸び大喜びでした!

”重力”という単語はまだ知りませんが、紙の重さや大きさにより落ちる速度や様子が変わることを遊びの中で気付く子もいたようです。

知識・技能の基礎における規則性、法則性、関連性などの発見 さらに、様々な気付き、発見の喜び

(知識・技能の基礎…遊びや生活の中で、豊かな体験を通じて、何を感じたり、何に気付いたり、何が分かったり、何ができるようになるのか)

 

②作ったボールを比べ、投げ合う。

 

大きさやボールの形をお互いに見せ合いました。大きな新聞紙で包んだり、細かくちぎった新聞紙を両手で握って硬くしたりと方法は様々。

「◎◎ちゃんのは小さいね」「○○くんの丸くなってる!」と違いに気付く子ども達。

思考力・判断力・表現力等の基礎における 他の幼児の考えなどに触れる

 

また、大きな新聞紙で包むことでまとめた子は、「包んだら散らばらないから投げやすいはずだ」と今までの知識から予想を立てたはずです。

実際に投げてみて、やっぱり散らばらなかったと確認ができたことでしょう。

思考力・判断力・表現力等の基礎における予想、予測、確認

(思考力・判断力・表現力等の基礎…遊びや生活の中で、気付いたこと、できるようになったことなども使いながら、どう考えたり、試したり、工夫したり、表現したりするか)

 

友達とボールの違いを比べ合った後、”秘密兵器”セロハンテープとガムテープを提供。

黙々と、自分の思うボールを作っていました。製作が大好き、と担任より聞いていたので、ずっと作り続けるだろうと予想していました。

そのため、今回は「時計の長い針が7になるまでね」と制限を設けました。☆知識・技能の基礎における日常生活に必要な言葉の理解

 

さて、時間になりました。作ったボールを投げてみよう!と提案すると…

 

喜んで投げるものの、投げたボールを慌てて拾いに行く子どもたち。自分のボールが何処かに行かないよう必死です。

40分程かかって丁寧に作り上げたボールを、大事に思っていたようです。

これは私の予想不足でした。大人からすると新聞紙とテープで作った只のボールも、子どもにとっては大事な作品だったのです。

思考力・判断力・表現力等の基礎における自分なりの表現・表現する喜び

そこで宝物は一旦、舞台に置いてもらうことにしました。

 

 

③みんなで大きなボールを作る。

 

3~4人のチームになり、ビニール袋に新聞紙を集めてボールを作って貰いました。

「最後にボールを投げて、どのチームのボールが長く飛ぶか比べるよ」と最初に伝えました。

「僕が持つから、◎◎くんが入れて!◎◎ちゃんは、集めてきて!」と、チームで月齢の高い子がリーダーになる形になっていました。

「あ!あっちにも落ちてるよ、取ってくる」と、メンバー同士で声をかけあい夢中になって集める子ども達。☆言葉による伝え合い

喧嘩になることもなく、”ビニールでボールを作る”という目的に向けて協力する姿は、普段の保育により育まれた☆学びに向かう力・人間性(思いやり・相手の気持ちの受容・葛藤、自分への向き合い、折り合い・話合い、目的の共有、協力・・安定した情緒 ・自信・好奇心、探究心)を感じました。

(学びに向かう力・人間性等…心情、意欲、態度が育つ中で、いかによりよい生活を営むか)

 

また、一度で沢山の新聞紙を集める方法をお互いに教え合ったり、真似し合ったりする子ども達もいました。☆試行錯誤、工夫

 

最後は、どのボールが長く飛ぶのか比べました。投げる前に、それぞれのボールの重さ・大きさを比べました。

メジャーやはかりを持ってくれば、数字を見ながら比べることが出来たと思います。☆日常生活に必要な言葉の理解

投げ方によっても変わるため、全員1回ずつ投げました。自分のチームのメンバーが遠くまで投げると、両手をあげて大喜び。自分がメンバーの一人だと、しっかり自覚出来ている様子が伺えました。

 

まとめ

 

今回は4歳~5歳の発達や、育みたい資質・能力の視点から、活動を行いました。

これらは、授業のように教え込んで身に付くものではありません。環境の中で、子どもが遊びながら気付き、学んでいくものです。

ここでいう環境とは、今回の活動で言うと以下の通りです。

①たくさんの新聞紙を存分に使える。また興味関心を引き出し試行錯誤できる素材がある。(物的環境)

②半分に仕切られたリズム室=新聞紙に集中しやすく、不測の怪我が起きにくい空間(物的環境)

③考えたことや不安に感じたことを受け入れる大人が側にいる(人的環境)

④真似したり考えを聞いたりできる存在が側にいる(人的環境)

このように、子どもの発達や育みたい資質・能力を元にねらいを定め、そのねらいを元に環境を考え整えることで、子どもの育ちを支え促すことができます。

今後も、目の前の子どもを理解し、年齢ごとの発達の見通しや育みたい資質・能力を踏まえて保育を行っていきたいと思います。 櫻田

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