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2023.12.28

ブログ

広まる「子どもアドボカシー」

「アドボカシー」という言葉を耳にしたことがありますか?

アドボカシー(advocacy):「擁護」や「支持をする」などと訳される英語で、福祉の現場では自分の意思をうまく伝えることのできない患者や高齢者、障害のある人に代わって、その意思を伝えて権利を守る、その主張を代弁するという意味合いで広く使われています。

その対象を子どもとしている取り組みが「子どもアドボカシー」です。

■子どもアドボカシーとは

「子どもアドボカシー」とは、子どもの意見を丁寧に聴いて、それを表明できるようサポートし、子どもの権利を守っていくという取り組みです。社会の中で「子ども」は、①大人と比べて身体が小さく力が弱い、②今まさに成長発達している途中であり、まだ知識や経験が少ないという理由から、「子どもだから」というだけで大人から理不尽に制限をかけられたり、言いたいことが言えなかったりすることがあります。過去には、実際に声を上げても大人の方が受け止めきれず、命が失われてしまった悲しい出来事もありました。「言いたいことを言える」、「聞きたいことを聞ける」というのが子どもの権利であり、その権利を守っていくことが「子どもアドボカシー」の役割です。

■大人も子どもも「練習」しよう

子どもが言いたいことを言えて、聞きたいことを聞けるようになるには、大人も子どもも「練習」が必要です。錦ヶ丘では、「サークルタイム」という時間を設けています。友達全員の顔が見えるよう円状になって座り、みんなで遊びの内容を決めたり、何か困りごとが起こった時に自由に意見を言い合ってその解決方法を考えたりしています。中にはみんなの前で言うのは恥ずかしいと萎縮する子もいますが、回数を重ねるうちに堂々と自分の意見を伝えることが出来るようになっています。そして自分の意見が尊重されることが自信に繋がり、より意欲が高まっているようです。練習を重ねて自分の意見が言えるようになっていく子どもを見ていると、大人にも練習が必要だと改めて感じる日々です。

子どもの話ばかり聴いていると、子どもがわがままになるのではないかと心配される方もいるかと思います。ですが、実際は自分の話を聴いてくれる相手がいることで、子どもの心と身体が安定しているように感じます。もちろん、生活していく中では子どもの言う通りに出来ない場面が多々あります。その時は、その理由をしっかり説明すること、それが私たち大人の義務であり、責任なのだと思います。

■「聴かせて」という姿勢を大事にしていく

子どもが言いたいことをうまく言葉に出来ない時、その気持ちを受け止めることは簡単ではありません。特にまだ言葉を話すことができない乳幼児の場合は本当に難しく、私たち保育者も練習、練習の毎日です。子ども達の意見を聴いたり、思いを想像して汲み取りながら、一緒に考えることを通して成長していければと思います。そして、子ども達のほうから「ねぇ、ねぇ」と話しかけてきてくれる大人でありたいと思います。

「聴くこと」は人間関係を築いていく上で基盤となるものです。子ども達の声を聴き、そのマイクとなって思いを代弁していく「子どもアドボカシー」に引き続き取り組んでいきます。 文責:上岡

参考文献:堀 正嗣「子どもアドボケイト養成講座~子どもの声を聴き権利を守るために~」

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