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2022.12.27

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講話「こどもの褒め方」に参加して

先日、「北部親子つどいの広場 なかよしの」であった「こどもの褒め方〜褒めてのばすコミュニケーション〜」作業療法士:鬼塚靖一郎先生の講話を聴きに行きました。
講話では、①褒めることの効果 ②こどもへの伝え方 ③成長をサポートする方法 の3点についてお話頂きました。今回は、お聞きした内容と感想を交えてご紹介したいと思います。

①褒めることの効果

「褒めること」は相手を認めることです。認められると私たちは、「今自分がしたことは、相手にとって良い行いだったのだ」と認識することが出来ます。自分も相手も嬉しくなると、その行いを繰り返そうとします。認められたことによってその「良い行い」が習慣になっていくのです。例えば、玩具のやり取り。「貸して」「いいよ」が上手くかみ合った時、友達は嬉しそうに遊び、その姿を見て貸した側も嬉しくなります。そばに居る大人も、「貸してくれたの。嬉しいね。ありがとうね」と代弁します。こういった経験が積み重なると、ケンカをせずとも、お互いに不満の無い物の貸し借りが出来るようになります。

 

私たちは何かをする時、いちいち細かいことまで意識していません。とっさに体が動いたり、いつの間にか「こうすればよい」という対処法が身に付いていたりします。人間の行動は、意識してやるものはたったの3%で、無意識にしている行動が97%を占めているそうです。子どもにとっても、たまたま思いつきや無意識のうちにやった行いが、お友だちやそばにいる大人に認められることで「今のは相手も嬉しかったんだ」と自覚でき、繰り返そうとすることで良い行いが習慣になっていくようです。

褒められる(認められる)ことによって、良いと自覚した行動が出来るようになっていくことは、自ら考え、主体的に行動することへと繋がっていきます。」

とのことでした。

錦ヶ丘では「子ども達が(大人のフォローを受けながら)自らの意思で動き、選ぶ」主体性を育む保育に取り組んでいます。子ども達が主体的に動くことには必ず「楽しさ」がセットになっています。自らやりたいことを選び、やろうと決めてする活動が楽しくないはずがありません。保育の中で生まれる楽しさや喜び、時に生まれる悔しさ悲しさも認めて、子ども達が自信を持って行動が出来るよう後押ししていきたいと思います。

 

②こどもへの伝え方

~3歳以上の子ども~
言葉でコミュニケーションが取れるようになる3歳以上のこどもの場合は、良いところを具体的に伝えることが大事だそうです
「えらいね」とあいまいな表現で褒めても、こどもにとっては「何がえらかったの?」と頭の中が???になるそうです。適切なフィードバックが貰えておらず、認められたという認識がないのは少し残念です。
我々大人が昨日からのその子の小さな成長や良いところを見つける目を養い、「〇〇ができたね(できるようになったね)」「〇〇してくれてありがとう」と何が素晴らしかったのかを具体的に伝えられるスキルを磨く努力をしていかなければなりません。
また、結果や才能を褒めないこと、他人と比較しないことが大事だそうです。「テストで100点取れてすごいね」などその結果を褒めてしまうと、MAXで褒められたことが成功体験になり、90点のような高得点で褒められも、自信にならないそうです。勉強に取り組んだこと、新しいことを学んで楽しかったことを自信にできるようにしたいです。
更に、「〇〇くん(さん)は△△出来てすごいね」と他人と比較してしまうと、常に他人からの評価を気にしたり、失敗する(負ける)見通しがついてしまって挑戦しなくなったりするそうです。
~3歳未満の子ども~
言葉でコミュニケーションを取ることが難しい3歳未満のこどもの場合は、表情(視覚的情報)と声の明るさ(感覚的情報)を頼りにしているので、あいまいでもいいのでその瞬間に、目を見て、声は明るく表情豊かに褒めることが大事になるようです。子どもが「なんで?」と聞いてきて、理由を説明して何となくわかってくれたかなと思うようになるまでは、ハイタッチをしたり、やっていることを実況したりしてもいいようです。どんな言葉でも、認めた分だけ自信に繋がります。具体的に伝える3歳以降に向けて、大人側が良い所を見つける練習をする時間なのかもしれません。
↑「たためたねー」「きれいにたためるんだね!」
③成長をサポートする方法
褒めるだけでは、成長はしません。しかし、怒ることでも成長しません。褒め(認め)つつ伝える(良い方向に導く)もしくは教えることが大切だそうです。錦ヶ丘では、子ども同士のやり取りで成長する場面では「見守る」ことも大切にしています。
また、伝えるときは「褒める/認める」でサンドイッチするとよいそうです。
例えば、
大人:お片付けしようか? 子ども:いやだ!
大人:いやだよね。(子どもの気持ちを汲み取る)でも、このままだと足で踏んで痛いからこっちにしまってほしいな。(何が嫌なのか、どうしてほしいのか大人の思いを伝え、良い方向へ導く)
子ども:わかった。
大人:片付けできたね、ありがとう。うれしいよ。(してくれたこと、出来たことを認め、それに対してどう思ったか大人の気持ちを伝える)
というように、まずは子どもの気持ちを汲み取り、どうしてほしいのか伝え、出来たことを認めるという順番が大切だそうです。こうすると叱られたという感覚は薄れ、子どものストレスも減るそうです。また、大人の気持ちを伝えることで、子どもはこの行いをすれば相手はこんな風に感じるんだということを理解することも出来ます。
教える時のコツとして、疑問形「か?」で締めると、子どもが気持ちを言いやすく、何度も質疑応答を繰り返すうちに子どもも納得して行動できるようです。確かに、理由を理解して行動するときの子どもたちは迷いがないです。出来たら(してほしいことをやってくれたら)忘れずにその行動を認め、その行動をしてくれたことで相手がどういう気持ちになったかを伝えて、子ども達が前向きに行動できるようにしたいです。
最後に
出来ていることを褒めることはとても大切だと思います。 しかし、いつも褒められていると、「褒められる存在でいなければならない」というプレッシャーになったりします。そして、失敗を恐れ、挑戦できなくなったりもします。 うまくいかないことも受け入れ、ただ抱きしめたり、十分に甘えられるようにしたりすることも、合わせて必要だと思います。
子どもの成長には「認められること」「叱られること」「甘えること」「背中を押してもらうこと」などのバランスが大切で、どれかが突出すると問題が起きるように思います。本当に難しいです。それでも、大人でも褒められると嬉しいものですし、褒められて嬉しくない人はいないと思うので、些細なことでも良いところを見つけられるよう、一人一人と向き合い、文章(言葉)で具体的に褒められるような力をつけて、大人も子どもも嬉しい気持ちでいられることが増えるように努力していきたいと思います。
文責:上岡

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