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2025.09.29

ブログ

ママボールで広がる心と体の発達 (0歳児)

ママボールとは

0歳児の子どもたちが総勢8名になりました。園生活にも随分慣れ、それぞれが伸び伸びと過ごしています。

今回は、子ども達が大好きな「ママボール」を使ったあそびについてご紹介します。ママボールとは、乳幼児が安全に使えるよう、柔らかく作られたボールのことです。このシンプルなボールによって育まれる0歳児の運動能力と心の発達についてお伝えします。

 

ママボールは、童具館の創設者である和久洋三氏によって、「誕生と同時に、まず最初に与えたい童具」であるボールの一つとして考案されました。生まれてまず触れるお母さんのおっぱいがまるいように、ボールの角がないまろやかな手触りは子どもの心を和ませます。また、「ボールはどこから見ても全く同じかたち」をしており、動きにどんな変化があっても、変わらない形をしているということは、子どもに動きそのものだけに関心を向けさせることにつながるそうです。

 

一見するとただのボールですが、その魅力は計り知れません。和久洋三氏が提唱する「定型発達に合った遊び」を自然に引き出す、まさに魔法の道具です。定型発達とは、乳幼児期に獲得すべき基本的な運動能力や感覚機能が、適切な時期に無理なく育まれることを指します。

 

さくらんぼ組でのママボールあそび

 

さくらんぼ組の子ども達も月齢が様々で発達段階も異なりますが、個々の様子をみながらママボールを使った運動発達を促す活動や関わりを考えています。

 

  1. 布の感触を楽しむ

ママボールは、とても柔らかく、子ども達が安心して触れることができます。手のひらや足の裏でボールをぎゅっと握ったり、指先でつまんだりすることで、触覚が刺激されています。

2.目で追う

カラフルなママボールが予測しない方向へあちこちはねる様子は子ども達を引き付けます。

歩行が安定していない子ども達にも、保育者が目の前でゆっくりと動かすことでボールを追

視する姿を引き出します。ボールの動きを目で追うことは視覚の発達にとても重要です。

 

3.運動を引き出す

 ママボールを使った運動は、乳幼児の運動発達に欠かせない要素を自然に育むことができます。具体的には以下の通りです。

①寝返り・ずりばい・ハイハイの促進

うつ伏せになった子の少し先にボールを置くと、ボールを掴もうと手を伸ばしたり、少しずつ体を動かしたりします。これは「寝返り」や「はいはい」といった、次のステップの運動を引き出すきっかけになります。

②バランス感覚の養成

ボールの上に子ども達をうつ伏せや仰向けに寝かせ、ゆっくりと揺らしてあげることで、体の傾きを感じ取り、平衡感覚を養います。これは、将来歩行を始めるための重要な土台作りとなります。

 

③体幹の強化

うつ伏せの姿勢でボールに寄りかかることは、首や背中の筋肉を使い、頭を持ち上げる練習になります。これにより、体幹が徐々に鍛えられます。

ママボールを通して、寝返り、ずりばい、ハイハイなどの動きが遊びの中で無理なく引き出されている姿がとても興味深く、遊びの環境をつくることで子ども達の運動意慾を刺激することの大切さを感じました。

 

保育者との心地よいコミュニケーションも

ママボールを使った遊びは、0歳児の運動発達を促すだけでなく、心と体の両面を豊かに育む活動です。保育者が優しく声をかけながらボールを転がしてあげたり、体を支えたりすることで、子どもは安心感を抱き、保育者との信頼関係を深め安心感の醸成につながります。また、 ボールを追いかける楽しさや、目的を達成できた喜びは、子どもの自己肯定感を育みます。「できた!」という成功体験を積み重ねることが、次の意欲や心の安定へとつながります。

運動発達が著しい0歳児の子ども達には、ママボールで繰り広げられる遊びのすべてが貴重な経験、学びとなります。保育者として子ども達と心を通わせながら、様々な遊びを通して初めての経験を楽しんでいきたいです。

参考文献 『童具子育て講座②ボールと球(平成13年)』/和久洋三/株式会社童具館

 

文責:椎屋

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