心の育ち ~思いやり~

私は、フリーという立場で様々なクラスに入って保育を行います。2歳児ゆり組に入った時「ほっこり」した出来事があったので紹介します。

【ほっこり1】

朝の登園時間。Iちゃんがお母さんに抱っこされて寝ながら登園。昨晩、就寝時間が遅くなった…という理由でした。お母さんからIちゃんを受け取り「Iちゃんおはよう」と声をかけるが起きる気配はゼロ。30分くらい寝かせてあげようと思い、畳の上にタオルを敷きIちゃんを寝かせると、T君が近寄ってきて「I、どうしたの?」と心配そうに聞いてきました。「眠たいんだって。昨日、寝るのが遅かったみたい。だから、少しここで眠らせてあげようと思って…」と伝えると、足早にその場を去ったT君。その後、私はIちゃんが寒いかな~と思って被る物を探したんです。すると、その場からいなくなったT君がおままごと用のブランケットを持って立っていたんです。「もしかして、Iちゃんのために持ってきてくれたの?」と聞くとコクン!と頷くT君。私思わず「ありがと~~~!」って抱きしめました。「ちょうど、被る物探してたの。とっても助かります!」感謝の思いを伝えました。T君はきょとんとした表情でしたが、私がIちゃんにブランケットを被せるのを見届けると、自分の遊びに戻っていました。何気ないT君の優しさが心から嬉しかったです。

 

【ほっこり2】

戸外遊びの時間。私は遊具を上る子を側で見守っていたんです。するとそこへ三輪車に乗ったゆり組の子ども達が3人やってきました。一旦止まってまた3人で連なって出発しようとした時、S君の靴が脱げてしまったんです。S君は「ちょっと待って!ちょっと待って!」慌てて先頭のT君に伝えますが、T君にはその声が届かなくそのまま出発してしまいました。「ちょっと待ってって言ったのに~~~」とS君は置いていかれて大号泣。S君はその悲しみを保育士に訴えたくて周りをキョロキョロしながらさらに大号泣。(後ろに私が立っている事には全く気づいてない!)あまりに大きな声で泣くので声をかけようかな…って思ったんです。すると、S君の側にしゃがんでいたRちゃんがS君と脱げた靴をじっと見つめ、黙って履かせてくれていました。するとS君の泣き声は徐々に小さくなり、泣き止み「Rちゃん、ここに乗る?」と自分の三輪車に誘っていました。もう、置いていかれた悲しみは消えたようでした。Rちゃんの優しさがS君の気持ちの切り替えを手伝ってくれたようです。そんなこんなしていると、先に行ってしまったT君が気づいて戻ってきてくれました。一件落着です。「どうしたの?」って声掛けなくてよかった。見守っていてよかった。と思う瞬間でした。

保護者の皆さんもお子様が誕生してどんな子に育ってほしいか考えた時に「思いやりのある子に…」「優しい子に…」と考える人も少なくないと思います。ある著書の中に“思いやりは身近な人とともに育つ。”とありました。子どもの心に、思いやりの気持ちはほうっておいても育つわけではない。だれかがだれかを思いやっている姿を、日ごろから身近にみる必要がある…と。親が子どもを思いやる、周りの大人が子どもを思いやる、年上が年下を思いやる…。生まれてから周りにいる人の思いやる姿を目にして、そして、子ども自身がたくさんの思いやりの心を注がれることで自然と育っていくものなんだと思います。きっと、ほっこりエピソードのT君・Rちゃんもそういう経験をしてきたからこそ自然と思いやりのある行動になったんですね。

 

心の育ちって、大人が教えて・子どもがそれを覚えて育っていく・・・ではなく、親と子、大人と子ども、自分と友達など人との関わりの中で育っていくものなんだと思います。関わる中で、相手の気持ちのこもった言葉やしぐさを肌と心で感じる。「○○されて嬉しい」「ぎゅってされて心地よかった」「○○の言葉が嬉しかった」など… 自分が受けたその心地よさや嬉しさ、喜びを相手に返す。それが自然と思いやりの行動となるのではないでしょうか。これからも、子ども達がそんな気持ちで心が満タンになるよう、十分に触れ合って保育を行いたいと思います。    (文責:以上児リーダ中江)